ライバルに昇格したつもり・2





「・・・・・ただーいま。」

「わっ?!カカシさん!!おかえりなさいv」



「今の、もちろんどーいうコトかちゃーんと説明してくれるねv」


「え・・・・・あ、アレ・・・?」

もしかしなくても、カカシさん。

「・・・・怒ってます?」


「アハハハ、・・・・怒ってるv」



カカシさんの笑った顔が怖いかもしれない、と思ったのはこの時初めてだった。

あれ、なんか変な汗がでてきた・・・かも?


「えーっと・・・・正座、ですか?」

「バカ言わないの。その足でどう正座するつもり?」

「え、あ、ハイ。すみません。」

スパッと言われ、身を硬くしたが次の言葉を告げる前に
それごとカカシに抱きかかえられて2人はリビングへと向かった。


だけど、抱える一連の動きが優しいことには少しだけホッとした。


「なーに、ってああいうのが好みなの?」

「ああいうのといいますと、」

「ムサシの化けた姿。オレよりけっこうオッサンだったでしょ。」

が答えに困っていると、
よいしょ、という声でソファーに降ろされて向かいあった。


ちなみに、顔が結構近い。

「あ、あの」

「っていうか、のちゅーはカムカムくん2コ分程度のもんじゃありません。」

「え?」

「あと、ムサシにちゅーなんかしたら犬くさくなるよ。」


犬くさくって、カカシさん。


「口ん中毛だらけになってない?ほーら、あー・・・。」

「そんな、毛だらけになんて。ムサシくん人間でしたし、」


「あーしなさい。」


さすがに怒っているというだけあって、有無を言わさない。

うう、怪我したからってそんなに怒らなくても・・・とは
カカシさんの今の気迫からはとてもじゃないけど言えない。


「う、あ・・・あー。」

「ん、よし。」

最終的にはの素直な態度に満足したらしいカカシは、
妙に納得したようにその口布をさげて、さらにその顔を近づけた。


「じゃあ、はい。」

「はいって、・・・・あの、カカシさん?」

「ん?もちろん、消毒。」


「・・・・と、いいますと?」

今の状況がにはまったく理解できない。




「ま、消毒のためにオレにちゅーしなさいよってこーと。ちなみに口ねv」




「ぅええぇぇ?!!!む、ムリですよそんなの///!!!!」

「・・・・なんでよ。ムサシにはあんなに簡単にほっぺにちゅーしたくせに。」


キレイな顔の眉間に皺をよせて、今度は不機嫌さをあらわにしたカカシに
は先ほどから少しずれていた自分との考えに、状況を整理しようと頭を一旦落ち着けた。


「え、あのもしかしてカカシさん。」

「ん?」

「もしかしてですけど私がムサシくんのほっぺにちゅーしたのに怒ってたんですか?」


は?

今度はカカシが一旦停止する番になった。



「・・・・はオレがなにに怒ってたと思ったわけ?」


「えーっと、怪我したから・・・かと。」


はぁ。

カカシは隠さずため息をついた。


とは毎回こんなカンジになる。
オレが怒ってるのに、そんなことがバカらしくなるくらいの天然さで
あっという間にその毒気をぬかれてしまうのだから。


なんかもう、いいや。


そう思って、カカシが口布をあげたのとそれはほんのわずかタイミングがずれただけだった。




「ん、」





あーあ、なーんでオレ寸でのトコロで口布あげちゃうかねぇ。


「え?あ、アレ??」


いつもの唇の感触とは、どこか違うそれに
自分のしたことが随分と間が抜けているとが気づいたのは

行為そのものが終わってしまった少し後のこと。


カカシは自分のタイミングの悪さに全力でへこむ気持ちをなんとか抑えて、
今は目の前で真っ赤になってるに気を向けた。

「今度は肌にお願いね・・・。」

「ど・・・・・・っ努力、・・・します///」


いつまでもこうしてはいられない、と
現実に戻ってきたのはやはりカカシが先だった。


「それはそうと。足、手当てしなくちゃね。」

「え?あ、えっと。」

「ホラ、さっさと足出す!」


おずおず、とズボンをめくりあげてさしだす足を見て
忘れてたけど膝すりむくなんてちっちゃい子みたいで、なんだかそれはそれで結構恥ずかしい。


「転んで膝すりむくってなんか子どもみたいだね、。」

「今同じこと思って反省してたんですから言わないでください。」

「アハハハ。」

笑いながらも、その手が止まることはなく。
あっという間に出血していた部分は見えなくなり、上からガーゼがはられた。


「ありがとうございます。」


ようやく赤みが引いた顔をあげて、カカシをみると
うーん。となにやら顎に手をあてて考えていた。


「カカシさん?」

「オレ思ったんだけど、」

「はい。」


「この足じゃ今日お風呂はいるの大変だよね?」

「・・・・は?」




「オレがかかえてあげるから一緒にはいろっかv」



かかか、と再び赤くなったの顔。




「む、無理です!」

「なーんでよ。」

「恥ずかしすぎますって!」

「えーそんなの今さらじゃない?エッチのときにもっと恥ずかしい、もがっ!?」


「カーカーシーさーん!!!!!」



オレの口を押さえながら真っ赤になって、バシバシと胸を叩くも
の力じゃまったくもって痛くむなんともない。

でもさすがにからかいすぎたかな?


「ハハハ、そーんなに照れなくってもいいでしょーよ。」

の両手を持って、その顔を見つめると
カカシはちゅっ、と音をたててその額にキスをした。


「いや、普通に照れますし。」

「どーして?オレも裸だよ?」

「そういう問題じゃないと思います!」

「えー。」という声をあげてまだ粘りたそうなカカシさんは、
もはや一緒にお風呂に入るという話などどうでもよさそうだ。

だけど、私にしたら必死になるだけのことはある。


ていうか、今日は何回恥ずかしい思いしなくちゃいけないのよ。


「・・・だって、それとこれとは話が別っていうか。」

「エッチもお風呂も裸になるのは一緒なのに?」

「だーかーらー、もう!どうしてわざわざ口に出して確認するんですか〜〜///」


そんなのオレが楽しいからに決まってるでしょ、なんて言った日には
それこそ怒って口聞いてくれなくなりそうだから、ここは心の中にとどめておく。


「くくくくっ、ごめんごめん。じゃあしょーがないね、お風呂の方は我慢するかな。」

「お風呂は、ってなんですか。は、って。」

「んん〜・・・さぁ?それはのご想像におまかせしますv」

「うう、どーせまたヤラシイ事でも考えてるんでしょう!」

「そーんなことないよ。今日はの足を気遣いながらだからあの体位はムリだよなぁ、とかそんなトコ?」

「コラー///!!!」

「アハハハハvv」






そういえば昨日ムサシくんはあの後どこに行ったのだろう、と思っていると
玄関のチャイムがなった。


「はーい!」

パタパタと、スリッパの音をさせて小走りに玄関に向かいそのドアをあけると
朝日の中からたくさんの黒が目にはいる。


「おはよう、。」

「わ、めずらしい。おはよう、サスケくん。」


あれ?

その足元には本来の犬の姿に戻ったムサシが。


「ムサシくん?サスケくんと一緒だったんだ。おかえりー。」

「あぁ、ただいま。」

心なしかそわそわと、視線を家の中へとめぐらせて落ち着かないムサシに
もはやサスケは呆れているのか、同情しているのかわからない。


「・・・、カカシは?」

「さっき起きたとこなの、ちょっと待っててね。」


来た時と同じようにパタパタと遠ざかりながら、あがっててーと言う声が聞こえてくる。


「お前、どーすんだ。」

「どうもこうも・・・昨日さんざん話したろ。」



それから玄関で待つこと数分、相変わらず眠そうな上司がゆっくりと姿を現した。


「サスケがお出迎えとはめずらしーこともあるもんだな。」

「別に、嫌々だ。」

「朝からそんな不機嫌そうな顔しなーいの。」


あくまでものらりくらりと返事をするカカシに、

そうさせてるのはどこのどいつだ、と言ってやりたいが
今はそんなことを言っている場合じゃない。


「オイ、カカシ。最近ムサシが家にくる回数多いぞ。」

「あはは、ごめーん。でも昨日のは完・全・に・コイツが悪いのよー?」


嫌味のつもりで言ったのに、それをなんともしないばかりか
一部分をことさら強めて言い切るカカシに、サスケは返す言葉もない。


・・・・昨日の”は”って。は、ってなんだよ。

まぁ、・・・ウザそうだから追及はしねぇけど。


それでも多少とばっちりをうけているムサシの状況を聞かされて知っているのか、
今後も避難場所として提供してやらなくもない、と思ったサスケであった。



つーか、一瞬マジな殺気出さなかったか?カカシのヤツ。


すれ違いざま心の中でムサシに合掌をして、サスケは自分がきたことでいつもより随分早い出発に
慌てて今もキッチンでせっせと弁当の準備をしているであろうの元へと消えていった。




「それはそうと。」

サスケとの会話もそこそこに
待ってましたといわんばかりに、カカシの視線はの足元にいるムサシへと注がれた。


「随分と調子がイイんじゃないの、ムサシくん?」


「え、あー・・・イヤ。ほら、昨日のあれは仕方がないというか。」

「へぇー仕方なく、ね。でも別にわざわざそんなことしなくても瞬身すればすぐだったでしょ?」

「う。」


ヤバイ、やっぱりばれてる・・・。


「ハハハ、なんか最近ムサシと仲よしだよねー。オレだけ仲間はずれっていうかさ。」


カカシの目の奥がキラリと光ったのは、絶対に気のせいではないと感じたムサシは
大量にでてくる変な汗を隠しながら、この場を乗り切ることに必死で集中した。


「あ、あのな。カカシ、ほら!任務行かなくていいのか?ナルトたちも待ってるぞ。」

「ん、それもそーね。ってことで続きは帰ってきてからじっくり聞かせてもらおうかv」



語尾のハートマークにしっかりと「今日は逃げんなよ。」と思いがこめられているのを感じて、
ムサシはカカシたちを見送った後も1日気が気ではなかったとか。


しかし、今回のの喜びように味をしめたのか
次回化ける際には、細心の注意とタイミングで行おうとまったく懲りないムサシであった。



「あいつが渋好みだったとはな。」



いつものように、いってらっしゃいとカカシたちを見送る

いつぞや思ったひまわりみたいに笑っていた。



だから、もう二度と
自分が人間にうまれてこなかった事を後悔したりしないと誓った。








以上、犬対決でした!
おおおおおお、オリキャラが随分とでしゃばっていてすみません(汗
ムサシの擬人化の姿は皆さんの想像に全力でお任せします。

ヒロインのムサシへの気持ちは完全に、
「大きくなったら、お父さんと結婚するーvvv」という、あれの走りですww
愛情表現の1種ですが、カカシ先生とは違う家族愛ですね。
お話書くのが久しぶりすぎてほのぼのなのかシリアスなのか、甘いのか
全体的な路線がまったくつかめないまま終わりました(汗 あいやー。

ムサシの当面の逃げ場はサスケくん家だったりしますww
ナルトん家でもいいかなーと思ったんですが、
ナルトはイルカ先生ん家に入り浸ってるといいなっていう希望があるので。
それにサスケはひそかにムサシが来るのを待ってるといいと思いますww
口ではああ言いながらも、ムサシがすきなサスケです。





<おまけ>


「あれ、サクラちゃーん。サスケって犬飼ってたっけか?」

「えーそんな話、聞いたことないわよ。」


「「じゃあ、なんでカムカムくんなんて買ってんだ?(のかしら?)」」


「クククククッ」


「あーちょ、カカシせんせー!事情を教えろってばよー!!」

「あいつもあれでカワイイとこあるんだな。っぷ、くくくく」

「・・・訳わかんないってばよ。」

「うーん・・・私にもわからないわ。」

「ナルトもサクラも今みたことはナイショだぞv」